卒論の査読ってどういうところを見られるの?
学生にとって卒業論文は大きな関門です。長い時間と労力を費やし、ついに完成させた卒論を無事提出できた安堵感は計り知れません。しかし、その安堵の反面で気になるのが「査読」の存在です。
指導教員だけでなく、他の教員が論文を読み込み、内容を厳しく査読されます。査読を通過しなければ卒論は承認されず、卒業要件を満たせなくなってしまいます。こうした査読はどのような観点から行われるのでしょうか。本記事では、査読の具体的な評価ポイントをいくつかご紹介します。
構成と体裁の適切さ
まず査読では、論文全体の構成と体裁が、適切に整えられているかどうかが重視されます。具体的には以下のような点がチェックされます。
- 章立ての構成が論理的で分かりやすいか
- 本文の分量は適切か(過剰でも不足でもいけない)
- 参考文献や図表のフォーマットは統一されているか
- 表記ルールや用語の使い方に統一性があるか
このように、形式的な側面が一定のレベルに達していることが求められます。体裁の乱れは致命的なダメージとなり、卒論の質そのものが疑われかねません。
課題の新規性と着眼点
次に重視されるのが、課題の新規性と着眼点の面です。既存の研究や常識的な範疇を超えた、新しい視点があるかが確認されるのです。
もちろん大学生には画期的な発見を求める必要はありません。しかし、身近な事象や資料から新たな視点を見出せているかが評価の対象となります。単に先行研究を振り返すのみでは不十分で、オリジナリティのある着眼点が求められます。
また、課題自体の新規性や重要性、調査の価値についての言及もチェックされます。必要性の無い課題設定は減点の対象となり得ます。
論理性と主張の一貫性
そして何より大切なのが、論文全体の論理性です。自身の主張や仮説をいかに首尾一貫して展開できているかが、厳しく査読されます。
主張と根拠の関係性、具体例との整合性、因果関係の説明の適切さなど、さまざまな点が確認されます。単なる主観や偏ったデータに基づいた主張は認められません。客観性と合理性、そして筋が通った説得力のある論理展開がなされていなければ減点の対象となります。
加えて、論旨の一貫性や統一性、結論の明確さや妥当性なども視野に入れられます。根拠が示せない飛躍した結論は査読を通過できないでしょう。
データや根拠の正確性
データや根拠の正確さと適切さも、査読では無視できない重要なポイントです。
調査の過程や実験の方法が適切に示されているかをはじめ、データの正確さや解析方法の適切さ、引用の正確性なども、徹底してチェックされます。
データや根拠に不備があると、論文の信憑性が摘損されてしまいます。調査や引用にあたっては細心の注意を払い、正確さを期する必要があります。
分野固有の要素
以上がいわば一般的な査読のポイントですが、分野によってはそれ以外の要素も重視される場合があります。
例えば文理にかかわらずどの分野でも、倫理的観点からの指摘を受けることがあります。個人情報の取り扱いや、知的財産の尊重、実験における被験者への配慮など、さまざまな倫理面での指摘がなされる可能性があります。
また、分野によっては専門用語の適切な使用や、固有の記述形式の遵守なども必要とされます。査読を通過するには、分野ごとの要求事項をしっかりと把握しておく必要があります。
卒論の査読は決して簡単なものではありませんが、落胆する必要はありません。上記のような観点をしっかりと意識し、指導教員のアドバイスを仰ぎながら作業を進めていけば、必ず一定の質は担保できるはずです。
査読でつっこまれるポイントを事前に抑え、細部にこだわり、論理性と正確さに気を付けることが何より大切です。卒論は学生にとって大きな一歩ですが、査読は新しい一歩を踏み出す機会にもなります。乗り越えることで確実に成長できるはずです。
卒業まであとひと踏ん張り。焦らず、あきらめず、精一杯取り組んでいけば、きっと査読も通過できるはずです。