卒論の研究目的って何を書いたらいいのだろう?
卒業論文(卒論)を書く際に、多くの学生が悩むポイントの一つが「研究目的」の書き方です。「何を書けばいいのかわからない」「研究テーマと何が違うの?」と戸惑うことも多いでしょう。
しかし、研究目的は論文の方向性を決定づける重要な部分であり、ここが曖昧だと論文全体の筋が通らなくなってしまいます。では、卒論における「研究目的」とは何を指し、どのように書けばよいのでしょうか? 本記事では、研究目的の書き方とポイントについて解説します。
1. そもそも「研究目的」とは何か?
研究目的とは、「この研究を通じて何を明らかにしたいのか?」という問いに答えるものです。簡単に言えば、「この卒論のゴールは何か?」を明確に示す部分と言えます。
研究テーマが「何を研究するのか」を示すのに対し、研究目的は「その研究を通じて何を達成したいのか?」を具体的に述べるものです。たとえば、以下のように区別できます。
例:アニメの聖地巡礼の経済効果を研究する場合
- 研究テーマ:「アニメの聖地巡礼が地域経済に与える影響」
- 研究目的:「アニメの聖地巡礼が地域経済に与える影響を定量的に分析し、観光振興策としての可能性を検討すること」
このように、研究目的は研究の「意義」や「目標」を明確にするために必要な要素なのです。
2. 研究目的が重要な理由
研究目的がしっかりしていると、論文の軸がぶれにくくなります。以下のような点で重要な役割を果たします。
(1) 研究の方向性を明確にする
研究目的がはっきりしていないと、論文の内容が散漫になり、何を主張したいのかが曖昧になってしまいます。「この研究で何を明らかにしたいのか?」を最初に明確にすることで、論文の一貫性が保たれます。
(2) 先行研究との差別化ができる
卒論を書く際には、既存の研究(先行研究)を踏まえることが求められます。しかし、「過去の研究と同じことを繰り返すだけ」では意味がありません。研究目的を明確にすることで、「この研究が既存の研究にどのように貢献するのか」を示すことができます。
(3) 評価が上がる
指導教員や審査員が論文を読む際、最初に確認するのが「研究目的」です。ここが明確で説得力があると、論文全体の評価が上がりやすくなります。
3. 研究目的を書く際のポイント
では、実際に研究目的を書く際には、どのような点に注意すればよいのでしょうか? 以下のポイントを押さえておくと、説得力のある研究目的を書くことができます。
(1) 研究の背景を考慮する
なぜこの研究を行うのかを説明するために、研究の背景を簡単に示しましょう。「近年、アニメの聖地巡礼が観光業に与える影響が注目されているが、経済効果の定量的な分析は少ない」といった形で、研究の必要性を示すとよいでしょう。
(2) 具体的に書く
「〇〇について研究する」のように漠然とした表現ではなく、「〇〇を明らかにする」「〇〇の関係性を分析する」など、具体的な目的を示しましょう。
悪い例:「アニメの聖地巡礼について研究する」
良い例:「アニメの聖地巡礼が地域経済に与える影響を定量的に分析し、観光振興策としての可能性を検討する」
(3) 研究の手法やアプローチを示す
研究目的の中に、どのような方法で研究を進めるのかを簡単に示すと、より明確になります。
例:「アンケート調査や統計データを用いて、アニメの聖地巡礼が地域経済に与える影響を分析する」
(4) 研究の意義を明確にする
その研究を行うことで何が明らかになり、どのような貢献があるのかを示しましょう。
例:「本研究の結果は、地域活性化の施策を考える上で有益な示唆を与えるものである」
4. 研究目的の具体例
以下に、いくつかの具体例を挙げてみます。
例1:「不登校問題の現状と課題」
研究目的:「本研究では、日本の不登校問題の現状とその要因を分析し、学校や行政が取り組むべき課題を明らかにすることを目的とする」
例2:「キャラクタービジネスの経済効果」
研究目的:「キャラクタービジネスが日本経済に与える影響を、収益構造や市場規模の観点から分析し、その将来性を考察することを目的とする」
例3:「スタートアップ産業が日本経済に与える影響」
研究目的:「日本におけるスタートアップ企業の成長が、雇用創出や経済活性化にどのような影響を与えているのかを分析し、今後の政策的な示唆を導き出すことを目的とする」
5. 研究目的をブラッシュアップする方法
研究目的を書いた後は、以下の方法でブラッシュアップすると、より完成度が高まります。
- 指導教員に確認してもらう
- 早めに研究目的を提示し、フィードバックをもらうことで、方向性のズレを防げます。
- 先行研究と比較する
- 他の研究とどのように異なるのかを明確にし、独自性を打ち出します。
- 簡潔にまとめる
- 長すぎると要点が伝わりにくくなるため、できるだけシンプルに表現します(200~300字程度が理想)。
まとめ
研究目的は卒論の核となる部分であり、「この研究で何を明らかにしたいのか?」を明確にする役割を持ちます。具体性を持たせ、背景や意義を示すことで、説得力のある研究目的を書くことができます。
研究目的がしっかりしていれば、論文全体の流れがスムーズになり、説得力のある論文を書くことができます。卒論に取り組む際は、ぜひ研究目的の書き方を意識し、納得のいく論文を仕上げましょう!