文系の卒論、みんなこうしてる!
文系の卒論はわりと書きやすいです。それは理系と比べ、実験データが要らないからです(フィールドワークやアンケート調査はあります)。文系でも心理学の場合は実験をし、データをまとめたりする作業がありますが、そのほか多くの場合は、文献や事例を取り上げ、論説していきます。
まず文献の場合を説明しましょう。すなわち、文献を研究対象としている論文です。このような研究は言説研究ともいわれています。言葉の意味を研究するものになります。
作業としては、自分の研究したい分野を定め、この分野における文献を検索し、研究対象を定めます。
例えば、社会学の分野で「集団」の概念を研究したい場合は、まず、サイニー(国立情報学研究所)で「集団」というキーワードを入れて検索してみてください。そうすると、「集団」に関する文献がたくさん出てきます。その中から、自分が参考になるような文献を選び、先行文献にしましょう。このように調べていくうちに、社会学の中で、「集団」を論じている学者Aさんに出会います(もちろん文献を通しての出会いです。Aさんは日本人かもしれませんし、外国人かもしれません、現代人かもしれませんし、古代ギリシア人かもしれません)。このAさんの学説に惹かれを感じる時に運命の出会いと言います。出会ったら、卒業論文は半分完成しているといっても過言ではありません。なぜかというと、このあとは手続き的な作業だけです。Aさんの学説を読み、よく理解し、自分の論文の中で読み解かしていくだけです。Aさんは「集団」概念をどのよに捉えているのかを明らかにしていきます。次は事例を扱う論文を説明しましょう。卒業論文の中で、良い事例を紹介したいものもたくさんあります。例えば「よい授業のモデルを紹介したい」場合は、まず、このよいモデルに出会わなければなりません。授業見学や公開授業に足を運び、自分が素敵だと感じる実践に出会います。その実践に出会ったら、論文の半分が完成しています。なぜかというと、書くものが決まっていて、残りは地味綱作業をするだけですから。良い事例に出会ったら、この事例を良さを分析してみましょう。自分がこの事例のどこに惹かれ、どこがいいと感じていたのかを頭の中に整理してみましょう。紙に書いてみてもいいです。そうすると、ポイントが整理されていきます。「先生が子どもたちへの接し方」「子どもたちがいきいきとしている」こういう整理されたポイントに基づき、なぜそうなるのかという理由を考えてみましょう。そこは事例研究の本質になります。つまり惹かれた理由です。事例研究の場合はインタビューも有効な手段です。つまり、自分が見学していた授業の先生にインタビューを行います。自分が実践を見て感じていた疑問点を直接に先生に聞き、また先生の意図もうかがくことができます。そうすると、より濃い論文を書くことができ、評価も高くなります。
以上、文系の卒論における二つの論文の書き方をご紹介しました。つまり、①文献を扱う論文 ②事例を扱う論文 という二つのタイプがあります。①を選ぶ人は、このような特性を持っている人が望ましいです。1、読書が好きです。2、哲学的な理論や分析をすこし理解できます。3、ある程度論理的に文章を構成することができます。4、言説研究が好きです。四つの中から一つでも当てはまれば、挑戦してみてもいいと思います。②を選ぶ人は、このような特性を持っている人が望ましいです。1、実際に行動することが好き、2、文献より実物を研究対象としたい、3、集めたデータに基づき、ある程度分析能力があります、4、質的な研究に興味を持っています。四つの中から一つでも当てはまれば、選んでみてもいいと思います。
以上説明してきたように、文系の卒論は書きやすいです。形式は決まっていますので、運命な出会いさえ現れば、あとは地味な作業すなわち文字に起こしていくだけです。理系と比べ、実験のデータが求められることがありません。ただし、文系の論文は文字を扱っているので、ある程度質を保ていかなければなりません。
最後に質を保つ方法、或いは質のある論文に見える「コツ」を紹介します。これは「適切な引用」です。つまり、文系の論文の場合る程度引用や選考文献がなければ、ただの感想文になってしまいません。賢く引用することがポイントになります。もちろん先行研究をそのままコピーしてはいけません。自分とのかかわりがあるところに根拠として引用することをお勧めします。或いは自分が反対な意見を持つ場合は対象として引用してもかまいません。「引用」は文系の論文において大切です。どれだけ論文を読んできたかという指標の一つにもなります。場合によって、参考文献だけをみる先生もいらっしゃいます。参考文献で論文の質を決めてしまいます。なので、「引用文献」や「参考文献」をなるべく多くにした方がいいです。これらは自分の論文の土台と思ってください。土台がちゃんとしていかないと、ビル(論文)も壊れれしまいます。ぜひご活用してみてください。